ぐるぐる飜譯

しろうと翻訳者の理解と誤解、あるいは無知無理解

O・ヘンリー「緑の扉」(THE GREEN DOOR) その7(終)

https://trnlat.hatenablog.com/entry/2019/05/23/230458 からの続き

 

※この文章は、ものすご~く適当に逐語訳した仮訳初稿を、文面をろくに見返しもせずに投稿した(Google翻訳以下的な)ものです。全訳したあと、あらためて訳文を見直し、体裁を整えて別のブログなどで公開されます。

 

投稿済:https://islecape.exblog.jp/30617842/

 

 

Wondering, he descended to the sidewalk. The fantastic African was still there. Rudolf confronted him with his two cards in his hand.

不思議に思いながら、彼は歩道に降り出た。あの奇妙なアフリカ人がまだそこにいた。ルドルフは二枚のカードを手に彼に向き合った。

 

"Will you tell me why you gave me these cards and what they mean?" he asked.

「どうしてこれらのカードを僕にくれたのか教えてくれないか、それにどういう意味なんだ?」彼は尋ねた。

 

In a broad, good-natured grin the negro exhibited a splendid advertisement of his master's profession.

人の良さそうに歯をのぞかせた笑顔を広げる黒人は、彼の雇い主の職能の申し分のない宣伝になっていた。

(つまり、立派な歯だから、よい歯医者であると)

 

"Dar it is, boss," he said, pointing down the street. "But I 'spect you is a little late for de fust act."

「あれだよ、旦那」彼は通りの向こうを示して言った。「でも、芝居のしょっぱなにはちっとばかし遅いかもしれんね」

 (ドイツ系のルドルフを揶揄するような台詞回しはないが、アフリカ系だとこうなってしまうのはやはり時代か。この黒人の見た目が堂々たる立派な姿であるということは言っているが)

 

Looking the way he pointed Rudolf saw above the entrance to a theatre the blazing electric sign of its new play, "The Green Door."

彼が示した方に目をやったルドルフが見たのは、劇場入口の上にきらめく新作舞台の電飾看板、『ザ・グリーン・ドア』。

 

"I'm informed dat it's a fust-rate show, sah," said the negro. "De agent what represents it pussented me with a dollar, sah, to distribute a few of his cards along with de doctah's. May I offer you one of de doctah's cards, sah?"

「俺が聞かされたのは、ありゃすんげえショウだってことさね、旦那」黒人は言った。「係員が俺に一ドルくれたもんだからさ、旦那、お医者のに混ぜてそっちのカードもちっとばかし配ってくれって。よかったらお医者のカードもお渡ししようか、旦那?」
(Dat->Thatとか'spect->suspectとかsah->Sirは調べるまでもないが、pussented がわからぬ。文脈から意味はわかるが、訛りの元ネタがわからぬ。他のヨーロッパ言語の翻訳を探さねばなるまい → ごく普通にpresentedだった)

 

At the corner of the block in which he lived Rudolf stopped for a glass of beer and a cigar. When he had come out with his lighted weed he buttoned his coat, pushed back his hat and said, stoutly, to the lamp post on the corner:

ルドルフは自分が住んでいる区画の街角でビール一杯とタバコ一服のために足を止めた。紙巻タバコに火をつけて帰路にもどると、彼はコートのボタンをかけ、帽子を後ろに倒して、角の街灯柱に向かってしっかりと言った:

 

"All the same, I believe it was the hand of Fate that doped out the way for me to find her."

「結局同じことだ。運命の手は僕が彼女を見つけるよう仕向けたんだと、僕は信じる」

 

Which conclusion, under the circumstances, certainly admits Rudolf Steiner to the ranks of the true followers of Romance and Adventure.

ことここに至って、このような結論を下すのだから、ルドルフ・スタイナーを浪漫と冒険の真実の追求者と見なすことは当然許されるであろう。

 

(これを訳している途中、「若い娘も劇場関係者で、宣伝に一枚噛んでいるのだ」という解釈を見つけて腰を抜かした)

O・ヘンリー「緑の扉」(THE GREEN DOOR) その6

https://trnlat.hatenablog.com/entry/2019/05/22/203343 からの続き

 

※この文章は、ものすご~く適当に逐語訳した仮訳初稿を、文面をろくに見返しもせずに投稿した(Google翻訳以下的な)ものです。全訳したあと、あらためて訳文を見直し、体裁を整えて別のブログなどで公開されます。

 

投稿済:https://islecape.exblog.jp/30617842/

 

"To think of you going through all that," he exclaimed.

「君がそんな目にあってきたとは」彼は嘆いた。

 

"It was something fierce," said the girl, solemnly.

「本当に大変なことばかりで」娘は心から言った。

 

"And you have no relatives or friends in the city?"

「それで君は、この街に親戚も友達もいないんだね?」

 

"None whatever."

「一人もいないの」

 

"I am all alone in the world, too," said Rudolf, after a pause.

「僕もこの世界でたった一人なんだ」少し間をおいてルドルフは言った。

(娘が「親戚や友達がいない」というのは、この娘がワーキングガールとして都市に働きに出た田舎の娘か、あるいは移民の娘であることを示している。前述のミス・リビーの小説の主人公の境遇である。リビーは、そのような境遇にあっても貞淑でいることで立派な男性に見初められる、みたいなヒロインを描いた。現実にはこの状況は娼婦一歩手前という感じだが「部屋が貧しいなりにきちんとしている」というあたり「この娘は救われるべき清らかな乙女ですよ」的な意図が込められている気もしないでもない) 

 

"I am glad of that," said the girl, promptly; and somehow it pleased the young man to hear that she approved of his bereft condition.

「だったらうれしい」娘は即座に言って;彼の天涯孤独の境遇を彼女が認めたことを聞いた若者をどういうわけか喜ばせた。

(今回は速度重視で――と言いつつ間が空いたりしているが――頭を使わず下訳の草稿の準備稿くらいの気持ちで文章を打ち込んでいるため、言い訳のしようもなく全体的にひどい訳なのだが、このあたりは輪をかけてひどい。しかし、英語原文がこれだからなあ)

 

Very suddenly her eyelids dropped and she sighed deeply.

ふいに娘はまぶたを閉じて深いため息をついた。

 

"I'm awfully sleepy," she said, "and I feel so good."

「私、とても眠いわ」彼女は言った。「それに、とてもいい気分」

 

Then Rudolf rose and took his hat. "I'll say good-night. A long night's sleep will be fine for you."

そこでルドルフは帽子をとって立ち上がった。「おやすみを言うとしよう。今夜一晩眠ったらすっかり元気になるよ」

 

He held out his hand, and she took it and said "good-night." But her eyes asked a question so eloquently, so frankly and pathetically that he answered it with words.

彼が手を差し出すと、彼女はその手を取って言った。「おやすみなさい」。しかし彼女の目がとても雄弁に、とても率直に、そして感傷的なまでに一つの問いを発しているので、彼は口に出した言葉でもって応えた。

 

"Oh, I'm coming back to-morrow to see how you are getting along. You can't get rid of me so easily."

「ああ、僕は明日には君が大丈夫かどうか見に来るよ。君はそうやすやすと僕を取り除いたりできないからね」

(cannot get rid「お払い箱」「お役御免」くらいでよいはず)

 

Then, at the door, as though the way of his coming had been so much less important than the fact that he had come, she asked: "How did you come to knock at my door?"

そしてドアのところで、彼がやって来たという事実の前には、どういうわけでやって来たかということは重要でないというふうに、彼女は尋ねた:「どうしてあなたは、うちのドアをノックしにきたの?」

 

He looked at her for a moment, remembering the cards, and felt a sudden jealous pain. What if they had fallen into other hands as adventurous as his? Quickly he decided that she must never know the truth. He would never let her know that he was aware of the strange expedient to which she had been driven by her great distress.

彼は彼女を瞬間見つめ、あのカードのことを思い出し、そしてふいに嫉妬の苦しみを覚えた。もしあれらのものが彼と同じほどの他の冒険者の手に渡っていたら? 即座に彼は決して彼女に真実を知らせてはならないと決断した。彼女の大変な状況が彼女に強いた拙い急場しのぎに彼が気づいたということを決して彼女に悟らせまいと。

(彼は彼女が彼は彼女の彼が彼女の彼女の…)

 

"One of our piano tuners lives in this house," he said. "I knocked at your door by mistake."

「うちの店のピアノ調律師がここに住んでるんだけど」彼は言った。「間違えて君のドアをノックしてしまった」

 

The last thing he saw in the room before the green door closed was her smile.

緑の扉が閉まりきる前にこの部屋で彼が最後に見たのは彼女の微笑みだった。

 

At the head of the stairway he paused and looked curiously about him. And then he went along the hallway to its other end; and, coming back, ascended to the floor above and continued his puzzled explorations. Every door that he found in the house was painted green.

階段の上で彼は立ち止まり、訝しげに周りを見わたした。そして彼は廊下の突き当りまで行き;そして、戻ってきて階を上り、彼の難解な調査に取り組み続けた。この建物で彼が見たすべての扉が緑色に塗られていた。

 

(あと一回でラスト…)

 

https://trnlat.hatenablog.com/entry/2019/05/25/003328  へ続く

O・ヘンリー「緑の扉」(THE GREEN DOOR) その5

https://trnlat.hatenablog.com/entry/2019/05/05/173957 からの続き

 

※この文章は、ものすご~く適当に逐語訳した仮訳初稿を、文面をろくに見返しもせずに投稿した(Google翻訳以下的な)ものです。全訳したあと、あらためて訳文を見直し、体裁を整えて別のブログなどで公開されます。

 

投稿済:https://islecape.exblog.jp/30617842/

 

"Fainted, didn't I?" she asked, weakly. "Well, who wouldn't? You try going without anything to eat for three days and see!"

「私、気を失ってた?」彼女は弱々しく尋ねた。「そうね、そうならない人はいないでしょ? あなたも三日間なにも食べずに過ごしてみればわかるはず!」

 

"Himmel!" exclaimed Rudolf, jumping up. "Wait till I come back."

「なんてこった!」とルドルフは叫びながら勢いよく立ち上がった。「僕が戻るまで待ってるんだよ」

(Himmelはドイツ語「天国」からきている感嘆詞。ルドルフは名前からしてドイツをルーツに持つ若者であることはわかっている。彼自身が移民としてドイツから来たのか、それとも親の影響でとっさに出たのがこの言葉なのかというところまではわからない。最後の一葉のベアマン老人のような訛りはないし、話し言葉にもドイツ語文法の影響を特に感じないので(僕のつたない英語力では断言できないが)、移民二世くらいではないかなあと思うのだが)

 "Wait till I come back."は、シャーロック・ホームズが言うところの「動詞を虐待して文末に持ってくるのはドイツ人」というのを感じさせぬでもない。

 

He dashed out the green door and down the stairs. In twenty minutes he was back again, kicking at the door with his toe for her to open it. With both arms he hugged an array of wares from the grocery and the restaurant. On the table he laid them—bread and butter, cold meats, cakes, pies, pickles, oysters, a roasted chicken, a bottle of milk and one of red-hot tea.

彼は緑のドアから飛び出て階段を下った。二十分で彼は再び戻り、彼女に開けさせるためにドアを爪先で蹴った。彼は両腕に食料品店やレストランで手に入れた品物を目一杯かかえこんでいた。テーブルに彼はそれらを並べる――バターパン、コールドミート、ケーキ、パイ、ピクルス、牡蠣、ローストチキン、ミルクボトル、そして温かい紅茶。
(コールドミートの次のcakesとpiesは、もしかすると「フィッシュケーキ(魚のすり身)」「ミートパイ」などのおかず系のものではないかともちょっと思ったが、普通に訳した)

 

"This is ridiculous," said Rudolf, blusteringly, "to go without eating. You must quit making election bets of this kind. Supper is ready." He helped her to a chair at the table and asked: "Is there a cup for the tea?" "On the shelf by the window," she answered. When he turned again with the cup he saw her, with eyes shining rapturously, beginning upon a huge Dill pickle that she had rooted out from the paper bags with a woman's unerring instinct. He took it from her, laughingly, and poured the cup full of milk. "Drink that first" he ordered, "and then you shall have some tea, and then a chicken wing. If you are very good you shall have a pickle to-morrow. And now, if you'll allow me to be your guest we'll have supper."

「なんて無茶なことを」ルドルフは叱るように言い、「なにも食べずにやっていこうなんて。そんな選挙で賭けをするような真似からは足を洗わないといけないよ。食事の準備ができたからね」彼は彼女に手を貸し食卓につかせてから尋ねた。「お茶用のカップはどこかな?」「それなら窓のところの戸棚に」彼女は答えた。彼がカップを取って再び戻ったときに見たのは、我を忘れたかのように瞳を輝かせながら、女性の的確な直感によって紙袋の中から探し当てたディルピクルスにかじりつこうとする彼女だった。彼は笑いながらそれを取り上げると、カップになみなみと牛乳を注いだ。「まずはこれを飲まなきゃ」彼は命じた。「その後でお茶もいくらか、それから鶏肉の手羽だね。もし君がとてもいい子にしていたらピクルスは明日あげるから。さて、もし君が僕を君のお客として認めてくれるなら、一緒に食事をしよう」

 

He drew up the other chair. The tea brightened the girl's eyes and brought back some of her colour. She began to eat with a sort of dainty ferocity like some starved wild animal. She seemed to regard the young man's presence and the aid he had rendered her as a natural thing—not as though she undervalued the conventions; but as one whose great stress gave her the right to put aside the artificial for the human. But gradually, with the return of strength and comfort, came also a sense of the little conventions that belong; and she began to tell him her little story. It was one of a thousand such as the city yawns at every day—the shop girl's story of insufficient wages, further reduced by "fines" that go to swell the store's profits; of time lost through illness; and then of lost positions, lost hope, and—the knock of the adventurer upon the green door.

彼は別の椅子を引いた。お茶は彼女の瞳を輝かせ、彼女の血色もいくらか戻した。彼女の食べ始める姿は、飢えた野獣のような一種の優美な獰猛さを伴っていた。彼女はまるで、この若い男がそこにいることも、彼が彼女に救いの手を差し伸べたこともごく自然なこととみなしているようだった――といってもそれは彼女が世間的な慣習をわきまえていないということではなく;むしろとてつもないストレスが彼女に対し人間の世間体を脇に置いてよい権利を与えたといったような具合だ。しかし力と安らぎを取り戻してゆくにつれ、もともと身につけていたいくらかの人間的な慣習が蘇ってくると、彼女は彼にささやかな身の上話を始めるのだった。それはこのような街が毎日あくびするように吐き出しているありふれたもののひとつだった――店員の少女の不十分な給金の話で、店の利益を膨れさせるために“罰金”でさらに減らされ;病気になって時間を失い、さらに仕事も失い、希望もなくし、そして――この冒険者が緑の扉をノックしたというわけだ。

(仮訳その2 https://trnlat.hatenablog.com/entry/2019/04/30/152541 で当時隆盛だったワーキングガール小説に言及したが、このヒロインの境遇はまさにそれの主人公である)

 

But to Rudolf the history sounded as big as the Iliad or the crisis in "Junie's Love Test."

だが、ルドルフにとってその話はまるでイリアスか、あるいは『ジュニィのラブテスト』に出てくる危機かというような一大事に思えた。

(つまりこの話は、ルドルフの視点だけだと冒険者である男がトロフィーとなる少女を獲得するという流れでしかないのだが、少女の視点に立場を変えるとたちまちワーキングガール小説の設定にもなるのである(ルドルフは王族や大富豪ではないが、ちゃんとした勤め人ではあるようだし見た目もよい))

(あと2回くらいかな)

 

https://trnlat.hatenablog.com/entry/2019/05/23/230458 に続く